こんにちは。
トム動物病院 院長の前中です。
3月24日に東京で行われた日本小動物歯科研究会の記念講演の中にあった猫の慢性歯肉口内炎の内容を皆さんにお伝え出来ればと思います。
講師は、米国とヨーロッパの獣医歯科専門医でおられるIRA LUSKIN先生でした。
名称について
猫の口内炎は色々な名前が使われていたが、最近では「慢性歯肉口内炎 Chronic GingivoStomatitis」と呼ばれている。
病因について
現時点では不明である。
カリシウイルス、猫免疫不全ウイルス、猫白血病ウイルスは原因というよりみられている要因であるだろう。
鑑別
慢性歯肉口内炎と歯肉炎、歯周病を鑑別する事が重要
症状
- 目立ったものとして強い口臭(口が臭い)
- 流涎(よだれがでる)
- 沈鬱な表情
- 口腔からの出血
- 体重減少
- 奇声など
治療
- 詳細な口腔内検査やレントゲン検査
- 全顎抜歯(全部の歯を抜く)
- 重篤な難治性症例の場合にはステロイドや免疫抑制剤を投与
まとめ
まずはしっかりとした(全身麻酔下での)口腔内検査とレントゲン検査が大事です。
そして、治療としては抜歯。
LUSKIN先生がおっしゃってましたが、長期間の抗生剤とステロイド治療をうけた後では治癒するまでに要する期間が長くなる事があるそうです。
また25日の症例発表会でも、猫の慢性歯肉口内炎で早期に全臼歯抜歯を行うと既存の報告よりも治癒率が上昇したとの報告がありました。
全身麻酔や抜歯に対して抵抗感を持たれるのは当たり前だとは思いますが、大切な猫ちゃんが痛みなくご飯を食べれるようになるためには必要な事だと僕自身改めて再認識しました。
(出典)日本小動物歯科研究会 創立25周年記念誌